
臨床開発
旭化成ファーマ株式会社
臨床開発センター 臨床計画部
薬学府分子生物薬学分野修了 2018年入社

01
社員の温かな人柄に触れて
大学院で、大腸菌染色体におけるDNA複製の開始に必要なたんぱく質の活性化機構を解析する研究に打ち込むさなか、杉山は「患者さんに新しい薬を届ける最前線で働きたい」という想いの火を絶やさずにいた。
「大好きな祖母が、私が高校生の頃に認知症になってしまったんです。自分の娘、つまり私の母のことも分からなくなり、周囲が介護で疲弊していく様子を目にするのは、とても悲しかった。この体験が薬学の道へ進む原点となり、薬の開発の最終段階である治験に携わる臨床開発の仕事を志望することにつながりました」
では、旭化成を選んだのはなぜだろうか。彼の答えは明快だ。
「確かに薬剤開発のパイプラインが豊富なのはメガファーマです。しかし、個人がすべての開発に携われるわけではないし、担当するのは1つの薬剤ですから、この点は気になりませんでした。むしろ既にグローバル化が進んだ環境で仕事をするよりも、日本側でイニシアチブを取ってこれから海外市場に切り込んでいく環境のほうが、やりがいがあるのではと思いました」
もう1点、旭化成に惹かれた理由が社員の人柄だった。例えば面接では「最終的に当社が選ばれないとしても、この就職活動を通してあなたが本当にしたいことはなにかを見つけられるようにサポートします」と言われたことが印象に残っているという。
「各社の面接に臨んでいる最中にいただいた言葉で、本当に温かく感じました。こういうことを本気で言える人たちと一緒に働きたいと思ったのです」
実際に入社して1、2年目の頃、彼は周囲の社員の優秀さに驚き、劣等感を抱くこともあったという。そんなとき上司から「他人と比較せず、過去の自分と比べれば、成長できている実感が得られるのでは」とのアドバイスを受け、気持ちがずいぶんと楽になったことがあった。
「入社前に感じた、温かい人柄の社員が多いという印象に間違いはありませんでした」と彼は笑う。
「大好きな祖母が、私が高校生の頃に認知症になってしまったんです。自分の娘、つまり私の母のことも分からなくなり、周囲が介護で疲弊していく様子を目にするのは、とても悲しかった。この体験が薬学の道へ進む原点となり、薬の開発の最終段階である治験に携わる臨床開発の仕事を志望することにつながりました」
では、旭化成を選んだのはなぜだろうか。彼の答えは明快だ。
「確かに薬剤開発のパイプラインが豊富なのはメガファーマです。しかし、個人がすべての開発に携われるわけではないし、担当するのは1つの薬剤ですから、この点は気になりませんでした。むしろ既にグローバル化が進んだ環境で仕事をするよりも、日本側でイニシアチブを取ってこれから海外市場に切り込んでいく環境のほうが、やりがいがあるのではと思いました」
もう1点、旭化成に惹かれた理由が社員の人柄だった。例えば面接では「最終的に当社が選ばれないとしても、この就職活動を通してあなたが本当にしたいことはなにかを見つけられるようにサポートします」と言われたことが印象に残っているという。
「各社の面接に臨んでいる最中にいただいた言葉で、本当に温かく感じました。こういうことを本気で言える人たちと一緒に働きたいと思ったのです」
実際に入社して1、2年目の頃、彼は周囲の社員の優秀さに驚き、劣等感を抱くこともあったという。そんなとき上司から「他人と比較せず、過去の自分と比べれば、成長できている実感が得られるのでは」とのアドバイスを受け、気持ちがずいぶんと楽になったことがあった。
「入社前に感じた、温かい人柄の社員が多いという印象に間違いはありませんでした」と彼は笑う。

02
ちょっとしたストレッチを促す文化
現在担当しているのは、治験実施計画書の作成である。治験実施計画書とは、薬の効果を検証し安全性を確認するために、その目的や方法、統計学的な考察、組織構成を示した手順計画書であり、治験における絶対的なルールとなるものである。
「既に承認されている疾患とは別の疾患を対象に試験を実施・計画しています。対象疾患は、現在も適応を有している薬剤はなく、アンメットメディカルニーズが非常に高い領域です」
治験実施計画書作成に向けて医学的なアドバイスを仰ぐため、臨床現場の医師とディスカッションをすることもあるが、その場でも医師から「この領域での新薬が強く求められている」という声を聞くし、医師経由で患者さんの期待の声も伝わってくる。
「有効性・安全性が認められた薬を1日でも早く患者さんに届けたいとの気持ちで、治験実施計画書を作成しています。この薬ができれば、世界初なのは間違いありません。大きなやりがいを感じながら取り組んでいます」
日本の患者さんにいち早く届けたいとの想いから、彼は社内の臨床開発のエキスパートや領域の権威である医師たちと議論を繰り返し、大幅な期間短縮案を盛り込んだ計画策定に向け、そのための科学的根拠を集めることに奔走。最終的に日本当局との合意を取り付けることができたのである。これは彼を含む社内担当者たちならではの挑戦的な取り組みだったと高く評価されている。
「個人的な印象ではあるのですが、若いうちから責任ある仕事を大胆に任せてくれる会社だと思います。成長を促すためにちょっとストレッチさせてくれる、そんなカルチャーがしっかりと根づいているのではないでしょうか」
「既に承認されている疾患とは別の疾患を対象に試験を実施・計画しています。対象疾患は、現在も適応を有している薬剤はなく、アンメットメディカルニーズが非常に高い領域です」
治験実施計画書作成に向けて医学的なアドバイスを仰ぐため、臨床現場の医師とディスカッションをすることもあるが、その場でも医師から「この領域での新薬が強く求められている」という声を聞くし、医師経由で患者さんの期待の声も伝わってくる。
「有効性・安全性が認められた薬を1日でも早く患者さんに届けたいとの気持ちで、治験実施計画書を作成しています。この薬ができれば、世界初なのは間違いありません。大きなやりがいを感じながら取り組んでいます」
日本の患者さんにいち早く届けたいとの想いから、彼は社内の臨床開発のエキスパートや領域の権威である医師たちと議論を繰り返し、大幅な期間短縮案を盛り込んだ計画策定に向け、そのための科学的根拠を集めることに奔走。最終的に日本当局との合意を取り付けることができたのである。これは彼を含む社内担当者たちならではの挑戦的な取り組みだったと高く評価されている。
「個人的な印象ではあるのですが、若いうちから責任ある仕事を大胆に任せてくれる会社だと思います。成長を促すためにちょっとストレッチさせてくれる、そんなカルチャーがしっかりと根づいているのではないでしょうか」

03
会社初の同意説明文書のレビューに挑む
治験実施計画書の作成と並行しながら彼が取り組んでいるのが、旭化成ファーマとして初の取り組みである「患者さんによる同意説明文書のレビュー」という活動である。
製薬業界ではPPI(Patient and Public Involvement)やPatient Centricityという、要するに患者さんとともに医薬品開発を進めていこうという考え方が普及し、治験に際しても患者さんの意見を反映させ、一緒に治験計画をデザインしていく流れが強くなった。旭化成ファーマでも数年前から準備を進め、今回初めて患者さんの意見を聞いて治験に反映させる取り組みを行うことになり、彼がその推進を担うことになったのである。担当のメンバー入りを打診されたときは、大いに意気に感じたそうだ。
治験に参加する患者さんに治験内容を正しく理解してもらうためには、専門用語の多い文章を分かりやすく紐解かなくてはならないし、リスクやベネフィットも丁寧に表記しなくてはならない。患者さんからのフィードバックも重要である。
「臨床開発センターとしてこれまで患者さんに直接アクセスすることがなかったため、患者さんの団体と接点を持つ部署に協力をお願いするなど、まったく新しいチャレンジとなりました。旭化成ファーマの素晴らしいところは、こういう場合に喜んで“巻き込まれる”文化があることです」
フィードバックをどのように同意説明文書に反映させていくかという点も初めてのことであり、一つひとつ、覚悟を持って決断を下している。そこにあるのは、この決断が患者さんのためになるかどうかという視点。
「人の命に関わる仕事をしている重みを忘れることはありませんし、まさにそれこそが製薬企業で働く最大の喜びです」
製薬業界ではPPI(Patient and Public Involvement)やPatient Centricityという、要するに患者さんとともに医薬品開発を進めていこうという考え方が普及し、治験に際しても患者さんの意見を反映させ、一緒に治験計画をデザインしていく流れが強くなった。旭化成ファーマでも数年前から準備を進め、今回初めて患者さんの意見を聞いて治験に反映させる取り組みを行うことになり、彼がその推進を担うことになったのである。担当のメンバー入りを打診されたときは、大いに意気に感じたそうだ。
治験に参加する患者さんに治験内容を正しく理解してもらうためには、専門用語の多い文章を分かりやすく紐解かなくてはならないし、リスクやベネフィットも丁寧に表記しなくてはならない。患者さんからのフィードバックも重要である。
「臨床開発センターとしてこれまで患者さんに直接アクセスすることがなかったため、患者さんの団体と接点を持つ部署に協力をお願いするなど、まったく新しいチャレンジとなりました。旭化成ファーマの素晴らしいところは、こういう場合に喜んで“巻き込まれる”文化があることです」
フィードバックをどのように同意説明文書に反映させていくかという点も初めてのことであり、一つひとつ、覚悟を持って決断を下している。そこにあるのは、この決断が患者さんのためになるかどうかという視点。
「人の命に関わる仕事をしている重みを忘れることはありませんし、まさにそれこそが製薬企業で働く最大の喜びです」

04
世界中で待っている患者さんのために
治験におけるバイブルや憲法とでも呼ぶべき治験実施計画書の作成。絶対的な存在で誤りがあることは許されない。データマネジメントなど社内の様々な専門分野の担当者を招いて会議を重ねながら、治験実施計画書に磨きをかけていく。その経験の一つひとつが、彼の成長を促してくれる。
「治験が終わるまでには数年かかります。その後、承認を経て上市されるまでさらに数年必要です。そのときどんな気持ちになるのか、今はとても想像できません。もちろん治験の結果が芳しくなく、上市に至らない可能性もありますが、“病気に苦しんでいる患者さんに薬を届けたい”という一心で、できる限り治験を成功させられるよう、努力しています」
これまで旭化成ファーマでは国内の臨床開発に重点を置き、日本の患者さんのために薬を提供してきた。しかし現在はグローバルスペシャリティファーマを目指し、世界展開にも力を入れている。
「旭化成ファーマには魅力的な医薬品や新薬の候補がそろっています。日本の患者さんだけでなく、世界中の患者さんに薬を届けていく。その力になることがこれからの私の目標です」
「治験が終わるまでには数年かかります。その後、承認を経て上市されるまでさらに数年必要です。そのときどんな気持ちになるのか、今はとても想像できません。もちろん治験の結果が芳しくなく、上市に至らない可能性もありますが、“病気に苦しんでいる患者さんに薬を届けたい”という一心で、できる限り治験を成功させられるよう、努力しています」
これまで旭化成ファーマでは国内の臨床開発に重点を置き、日本の患者さんのために薬を提供してきた。しかし現在はグローバルスペシャリティファーマを目指し、世界展開にも力を入れている。
「旭化成ファーマには魅力的な医薬品や新薬の候補がそろっています。日本の患者さんだけでなく、世界中の患者さんに薬を届けていく。その力になることがこれからの私の目標です」

休日の過ごし方
中学、高校とバスケットボール部だったこともあり、最近はB.LEAGUEの観戦に夫婦で出かけることが多いです。野球やサッカーも好きなのですが、バスケは客席とコートの距離が近いこともあって迫力抜群です。誰かが頑張っている姿を応援することで、自分も仕事を頑張ろうというモチベーションが湧いてきます。

ある一日の流れ
出社、メールチェック
治験実施計画書の議論ポイントの社内打ち合わせ
医師との面会資料の作成
開発委託会社との打ち合わせ
ランチ
治験実施計画書案の作成
治験実施計画書案に関する社内担当者との協議
移動
医師と面会
帰社し、面会の議事録作成
退社