Asahi Kasei's DX Recruitment 旭化成のDX人財採用
旭化成のDXビジョン Asahi Kasei DX Vision 2030
私たち旭化成はデジタルの力で境界を越えてつながり、
“すこやかなくらし”と“笑顔のあふれる地球の未来”を共に創ります
DX推進の全体像
旭化成グループは、マテリアル、住宅、ヘルスケアの3領域で事業展開しており、多様な事業・技術・人財を基に、バリューチェーンの様々なステージにおいてデジタルを活用することで新しい価値提供の機会が広がっていくと考えています。
また、DXを活用できるシーンは、研究開発、生産、品質管理、設備保全、マーケティング、事業戦略、新事業の創出など幅広く存在します。デジタル人財の育成やDXを推進する場・空間の提供に加え、従業員の意識も変革しながら、DXの取り組みを「基盤強化(DXリーダー・デジタル人財の育成、働きがい向上)」と「事業高度化・変革(生産、R&D、事業戦略、新規事業創出)」の両輪でステージアップしていきます。
DX推進のロードマップ
旭化成ではDXの取り組みを4つのフェーズに分けたロードマップを作成しています。デジタル導入期にはグループ全体で400件のプロジェクトを立ち上げ、デジタル展開期にはグループ横断でDXを推進するため、デジタル共創本部の設立や、DX Visionの策定を行いました。現在はデジタル創造期と位置づけており、DXによってビジネスモデルの変革を行い、新たな価値創造を進めています。最終的には、デジタルノーマル期に向けて、全従業員がデジタル活用のマインドセットで働けるようさらにDXを推進します。
DX推進、加速するための取り組み
DX推進において何よりも重要となるのが、蓄積した豊富な「データ」、それを活用する高いDX技術をもつ「人」、そして現場のリアルな経験値から新たな価値を創造する「組織風土」です。それらすべてを持つ旭化成グループだからこそ実現できるDX基盤の強化を、社内の部署を越えて共創をしながら拡げていきたいと考えています。
デジタル共創本部について About Digital Co-Creation Division
デジタル共創本部の役割と取り組み
旭化成グループの強みである多様性を活かして、デジタルとの共創による変革をグループ横断で推進するため、2021年デジタル共創本部を設立しました。
今後、DX推進をさらに加速するためには、社内外の知恵を“Connect”し、価値を共創していくことが極めて重要であると考えています。デジタル共創本部にはマーケティング、R&D、生産技術など様々な部門のデジタル人財が集結。社内外の交流を促進し、DX基盤の強化とビジネスの創出を目指します。
働く社員・働く環境 Working Employees & Environment
社員インタビュー
デジタル共創本部それぞれの部署で働く社員に、取り組んだ印象的なプロジェクトを通して、仕事内容について語ってもらいました。
ITの可能性を広げる
セキュリティの在り方を探る
IT統括部
セキュリティセンター ガバナンスチームリーダー
酒井 謙一
社会人19年目
デザイン思考で全社をつなぐ
知のコミュニティを構築する
DX経営推進センター
共創戦略推進部 アジャイル開発グループ
林 百花
社会人5年目
日本を代表するDX銘柄。
そのさらなる進化を牽引する
CXトランスフォーメーション推進センター
濱中 悠三
社会人14年目
データサイエンスの力で、
研究開発のDXを実現する
インフォマティクス推進センター
菱沼 雅
社会人4年目
生産現場に寄り添い、
DXを推進する
スマートファクトリー推進センター
プラットフォーム技術部 システム技術グループ
光成 浩一
社会人5年目
社員座談会映像
デジタル共創本部で働く社員による座談会映像です。さまざまな視点から、働く環境や仕事、具体的なプロジェクトなどについて語ってもらいました。
オフィス紹介
社内外の知恵を“Connect”し、
DXの価値を共創する場所、CoCo-CAFÉ
デジタル人財が集結し、社内外と共創する拠点として2021年1月に誕生したデジタル共創ラボ。社内外の知恵を“Connect”し、価値を共創していく場として活用されています。マーケティングやR&D、生産技術各部門のデジタル人財が集まり、DX基盤の強化とビジネスの創出を目指します。
DX銘柄
旭化成は、経済産業省が東京証券取引所と共同で実施する「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)2023」に選定されました。DX銘柄とは、東京証券取引所に上場している企業の中から企業価値の向上につながるDXを推進するための仕組みを社内に構築し、優れたデジタル活用の実績が表れている企業が選定されるもので、旭化成は昨年に続き、3年連続の選定となりました。
デジタル人財育成 Digital Human Capital Development
DX推進の為に、人財を重要な要素のひとつと定め、デジタル人財育成制度を通して社員のスキル習得や終身成長を促し、長年活躍できる環境構築、より高いミッションに取り組み実績を上げられる風土醸成を促しています。
デジタルノーマル期「全従業員がデジタル活用のマインドセットで働く」デジタル人財化計画に向けて、IT/デジタルリテラシーの向上が不可欠であるという考えから、全従業員向けのDX教育を強化。2021年6月からは当社が独自に設計したオープンバッジ制度をグローバルに運用しています。スキルを見える化することで、自律的・自発的な学習を促し、e-ラーニングを活用したデジタル技術の基礎知識の段階的な習得を推進しています。各レベルに到達した社員にブロックチェーンで管理されたオープンバッジを発行しており、バッジはメールの署名やSNS等、社外への証明として活用が可能です。このほかにも、DX事例を学ぶ場や、様々な研修プログラムを用意しています。
- オープンバッジとは、世界的な技術標準規格にそって発行されるデジタル証明/認証。
資格情報をSNSなどで公開・共有したり、オープンバッジの内容証明を行ったりすることが可能です。
研究開発・DX推進
インフォマティクス推進センター
ミッション・役割
マテリアルズインフォマティクス(MI)は、材料開発のスピードを大幅に加速する技術として脚光を浴びています。本部門はこれを担い、旭化成グループのほぼ全ての研究部門と協業し、触媒や樹脂、医用材料など幅広い材料の開発で数々の成果を上げています。
テーマ例
- 実験データやシミュレーションデータに加え、特許や論文などの膨大な公知情報も活用したMIの開発と展開 など
製造・生産DX推進
スマートファクトリー推進センター
ミッション・役割
本部門は旭化成グループの全生産をスマート化し、持続的な事業価値向上を実現していくミッションをもっています。多様な生産現場に対してAIやデータ分析技術を活用し、製造スタッフと一体となり現場の改善・向上を目指しており、自らが考え手を動かし、達成感を現場と共有しながら自らの成長を実感できます。
※IT技術者やデータサイエンティストだけでなく、プラントエンジニアやネットワーク、信号処理技術者など様々なスキルを持ったメンバーがいる部門です。
テーマ例
- 統計手法から機械学習まで、幅広いデータ分析技術活用による品質安定化・故障予兆検知
- フルスタックのデジタル技術発揮による画像AI検査、ツール活用による現場作業の高度化
- 生産計画や物流などサプライチェーン系のシステム設計と具現化、AI活用による高度化 など
営業マーケティングDX推進
CXトランスフォーメーション推進センター
ミッション・役割
従来の営業スタイルの変革が求められる中、本部門は営業・マーケティング経験者やIT技術者、データサイエンティストなど様々なバックグラウンドを持った人財が集まった新設組織です。営業・マーケティング情報を一元的に扱うプラットフォーム構築から、SFA、BI、MA、Webサイトなど様々なツールのカスタマイズ、さらにデータ分析技術の活用により市場変化、顧客ニーズをとらえ、事業部門と一体となって改革を推進します。
テーマ例
- SFA、MA、Webサイトなど営業・マーケティング領域における各種ツールのカスタマイズ導入及び開発
- 各種BIダッシュボード作成を通したデータドリブン型経営の促進
- データ分析を活用した新たなビジネススタイルへの変革 など
事業・経営全体におけるDX活用
DX経営推進センター
ミッション・役割
Garage(=アジャイル開発+デザイン思考)を推進するために旭化成版Garage Teamを立ち上げ、ビジネスモデルの変革、価値の創造をリードしていく部門です。社内・社外との共創を維持し、各事業本部、事業会社、コーポレート部門の変革を加速させます。
テーマ例
- 旭化成グループの既存事業のビジネスモデル変革に向けてGarage手法を適用したテーマをマテリアル、住宅、ヘルスケアのそれぞれの領域で複数実施。現在は特に環境分野のテーマを最重要領域としています。
- カーボンニュートラル、サーキュラーエコノミーの実現、加速 など
旭化成全体のIT基盤
IT統括部
ミッション・役割
旭化成グループのグローバルに存在する多数の事業が日々生成するデータを安心・安全に保管・保持し、速やかに流通し、戦略に活用できる情報へ変換し、経営や事業が活用できるようにしていく。これを通じて競争力を高め、旭化成と社会の変革の推進を支える経営基盤であり経営戦略と並走する部門です。
テーマ例
- 2010年代初頭より果敢に推進しているグローバルなM&A戦略のサポートとM&A完了後のデジタル戦略を推進するための共通IT基盤作り
- 国境を越えたITガバナンスの整備と標準化
- データ活用の高度化・迅速化に必須なデータマネジメント基盤の導入 など
IT統括部
ITの可能性を広げる
セキュリティの在り方を探る
セキュリティセンター ガバナンスチームリーダー
酒井 謙一
社会人19年目
テクノロジーとガバナンスの
両面でのセキュリティ
100年を超える歴史ある企業というイメージのある旭化成ですが、新たなIT技術やIT人財を積極的に取り入れ、ITの活用に対してアグレッシブな一面も備えています。
私が専門とするセキュリティの領域においては、その特性が顕著に表れており、先進的なセキュリティ対策を積極的に採用しています。私は大手IT企業、政府機関を経てキャリア入社で旭化成に入社しており、これまで様々な業界のセキュリティの現状を見てきましたが、旭化成のセキュリティは私の知るなかでも特に高いレベルに位置していると感じています。
具体的には、EDR※1などの高度なセキュリティシステムを組み合わせた自社でのSOC※2の運用をいち早く開始したり、テクノロジーで対策できないリスクは全社的なガバナンスを丁寧に浸透させることでリスクコントロールしたりするなど、テクノロジーとガバナンスの両面からセキュリティ対策の高度化を図っています。このような旭化成のセキュリティの取り組みはメーカーやベンダーに限らず政府機関でも事例として取り上げられたことがあります。
- ※1Endpoint Detection and Responseの略で、高度なサイバー攻撃を検知するシステム。また、解析に必要なログの収集、侵害されたPCの隔離などのインシデント対応も可能
- ※2Security Operation Centerの略で、セキュリティ監視を行う組織。セキュリティツールのアラートなどを受け影響範囲や深刻度の調査を行う
従業員との対話による
セキュリティの実現
私の担当領域として旭化成グループ全体のセキュリティガバナンスを所管しています。セキュリティに関する規程類の策定や維持管理、従業員教育、申請・審査、コンサルティング、監査・モニタリングといった旭化成グループ全体のセキュリティを確保していくための制度や仕組みを所管しています。
ですが、これらの制度や仕組みを設けるだけではセキュリティは完成せず、従業員の皆さんにもセキュリティの当事者になって頂くことが鍵と思っています。DXによって、これまでIT化されていなかった分野でのIT活用が進み、より多くの人がITに触れる機会が増えました。ITを活用することで利便性が向上しますがリスクも同時に増えます。そのため、従業員の皆さんにもセキュリティの当事者となってもらえるよう、従業員との対話に重きを置いて私のチームを運営しています。
どうしてもセキュリティと聞くと煩わしいものとのイメージがあるかと思いますが、本来ITは便利で多くの可能性を持ったものですので、セキュリティがその可能性を阻害してはいけないと思っています。従って、私のチームでは従業員との対話にて柔軟な判断を行うことにしています。やり過ぎればITの活用に支障が出ますし、緩くし過ぎると事故に繋がる。バランス感が難しい仕事ですが、生きたセキュリティを体感できるやりがいがあります。
最近は対話の一環として、セキュリティをより身近なものと感じてもらえるような情報発信に新たに取り組んでいます。セキュリティの最新動向など興味・関心に繋がるテーマでセミナーをさせて頂いています。不審メールなどの攻撃者のテクニックについて踏み込んで解説したところ、前向きな反響を多く頂き、気が付けば従業員からの反響が私のモチベーションになっています。セミナーをさせて頂くたびに感じるのですが、旭化成には終身成長というキーワードがありますが、皆さんからその気質を感じます。
多様性を受け入れる寛大さに応える
旭化成の気質と言えば、多様性を受け入れるカルチャーも特筆すべきところと感じています。私はかなり尖ったセキュリティ施策を展開していますが、従業員の皆さんはそれを前向きに受け入れてくださり、寛大な気質であることが窺えます。旭化成はマテリアル、住宅、ヘルスケアの領域において様々な事業を有しており、多様性が日常となっているからゆえでしょうか。私はセキュリティの仕組みやシステムを導入するだけではなく、事業の当事者としてセキュリティに取り組みたいとの思いがあって旭化成にキャリア入社しましたが、キャリア入社者でありながらもすぐに活躍する機会を頂いて、今では旭化成グループ全体のセキュリティガバナンスを所管するポジションを務めさせて頂いています。この寛大さに成果で応えたいとの気持ちになります。
旭化成グループ全体のセキュリティガバナンスを所管するようになって感じる旭化成での仕事の醍醐味は、多様な事業を有していることでしょうか。現在はグローバルでの買収も増えて、私が過去に経験したIT企業や政府機関では経験できないほどに多様性に富んでいます。ITの活用も同じように多様性に富んでおり、それに合わせたセキュリティを考える仕事は刺激的で好奇心が尽きません。この様々な事業を有する旭化成に好奇心をもって共に挑んでくださる方をお待ちしています。
DX経営推進センター
デザイン思考で全社をつなぐ
知のコミュニティを構築する
共創戦略推進部 アジャイル開発グループ
林 百花
社会人5年目
UXの知識を新しい価値創造に生かす
学生時代は車の自動運転に関するヒューマン・マシン・インターフェース(HMI)という、人間とシステムがスムーズに連携するための仕組みを研究し、人間工学の修士号を取得。卒業後に入社した大手通信キャリアでは、決済アプリのユーザー体験(UX)の改善を担当し、ユーザーヒアリングや調査を通じた新しいUIの企画・検討を行っていました。学生時代の研究と通じる部分も多く、やりがいを持って取り組んできましたが、既存機能やサービスの改善が多かったため、新サービスを対象にしたUXを経験するために転職を決意しました。環境問題や社会課題の解決に結びつく事業に携わりたいという思いもあったため、医療関連事業やプラスチック資源の循環プロジェクトなどを手がける旭化成をチャレンジの場に選択。入社後は、DX経営推進センターの共創戦略推進部で、イノベーションの創出やDXを実行・推進するチームを作り「Asahi Kasei Garage」という“旭化成の多様な事業や製品、ノウハウによる新しい価値の共創”を促進するための活動を行なっています。デザイン思考とアジャイル開発に基づいたアプローチに注力している点も特徴で、所属している部署では、こういった考え方に馴染みの無い方を対象としたワークショップの運営も行なっています。
私が発案・提案し2023年3月にリリースされた社内ナレッジ共有サイト「CLIC」の改善施策も、デザイン思考とアジャイル開発の考え方をベースに、知識の共有を実行・推進するための施策です。
自分の手で知識の共有を活性化する
「CLIC」は20~30代の若手社員が中心となって運営している社内向けサイトの1つで、部署の垣根を越え、旭化成グループ全体で知識を共有することを目的にしています。さまざまな立場の人が自由に情報を発信することで、新たな化学反応が起こることを期待し立ち上げられたサイトですが、残念ながら投稿が少ないという課題がありました。
原因を究明し、知識の共有を活性化させるために実装した新しい機能が、X(当時のtwitter)のようにカジュアルに投稿できるタイムラインです。
改善に向けた調査の段階で私が最初に着目したのが、2,000文字ほどのブログ形式でなければ投稿できない当時の仕組みでした。仕事で忙しい中、テーマを決めて長文を書き、写真も用意するのは簡単ではありません。そこで、200文字程度で気軽に投稿できるようにし、投稿のハードルを下げることができれば、投稿を活性化できるのではないかという仮説を立てました。この仮説のもと、前職での経験を活かしてユーザーインタビューを開始。インタビューの設計から実施までの工程も私がすべて行っています。ユーザーインタビューを経て課題の詳細を把握した後は、実際のタイムラインの開発を行いました。
開発に際しては自ら手を挙げ、ユーザーが目にする画面の開発も担当しています。前職では具体的な開発は専門の方にお願いしていたため、プログラミングの経験はゼロ。知識やスキルは手を動かしながら学んでいきました。「ユーザーが見やすい画面は?」「わかりやすくするためにはどのような工夫が必要か」、ユーザーのことを常に意識しながら一つずつ機能を考えUIを組み立てていくことは、これまでのUXプロジェクトとはまた違う気づきがあり、非常に有意義な経験でした。また、タイムラインの試作品を50人くらいのユーザーに使ってもらうユーザーテストも実施。これも前職の経験を活かしており、意見やデータを分析して、UI改善に反映していきました。
一つのページのデザインを全て任せてもらえて、その実装まで行えたことは非常にやりがいを感じましたし、挑戦したいと表明すれば信頼し機会を提供してくれる。そんなカルチャーは、旭化成の大きな魅力だと感じています。
旭化成の未来にデザイン思考を
現在は、タイムラインを使用していただいた方からのフィードバックをもとに改善を進めていく段階です。最近の改善施策では、chatGPTの導入も行いました。「ユーザーのフィードバック」「改善」「リリース」のサイクルを何度も回しながら機能に磨きをかけていく予定です。こうしたアプローチにも、デザイン思考やアジャイル開発の考え方は生かされています。
旭化成の社員が新しいことに挑戦するとき、「こんなことが知りたいのですが」と投稿すれば、社内の専門家がすぐに答えを返してくれて、必要な知識を得られるようなサイトになってくれたら嬉しいですね。他部署のベテラン専門家に直接質問できる機会はなかなかありませんが、「CLIC」ならそれが可能になると信じています。そんなつながりが旭化成の中に生まれてきたら、とても素敵なことではないでしょうか。
UXやデザイン思考の浸透という視点で見ると、旭化成には進化の余地がまだまだたくさんあります。いずれは社員の誰もが「UXやデザイン思考、アジャイル開発ってこうだよね」という意識になれるよう、貢献していきたいと思います。「CLIC」のタイムラインの開発は、その第一歩だと考えています。
CXトランスフォーメーション推進センター
日本を代表するDX銘柄。
そのさらなる進化を牽引する
濱中 悠三
社会人14年目
顧客情報を全社共有の財産にする
「Salesforce」は世界でトックプラスのシェアを誇る顧客管理(CRM)プラットフォームです。旭化成では以前から、事業部単位で「Salesforce」を導入していましたが、2020年、事業横断的な顧客管理の実現に向け「oneAK Salesforce」という取り組みをスタートしました。営業部門、技術開発部門、品質保証部門を1つプラットフォームで繋ぐことで、部門ごとに管理していた顧客情報を一元化し、サービスの質と効率を向上させる戦略的なDXプロジェクトです。
「oneAK Salesforce」には「Salesforce」の顧客管理や商談の進捗状況管理などの標準的な機能に加え、お客様からのご意見や販売の契約、見積もり情報なども共有できるよう、旭化成独自の機能を搭載しています。他のシステムとの連携も図られており、お客様の名刺をアプリで撮影または複合機でスキャンすることによって、会社や人の情報が自動的に「oneAK Salesforce」に連携されるといった機能もその一例です。
名刺やお問い合わせ履歴などの基本的な顧客情報から商談の進捗まで、1つのプラットフォームで管理し事業横断的な連携を可能にしたことで、お客様と“面”でのつながりができるようになったことは、旭化成グループのサービス品質を向上させる上でも非常に意義の高いことと言えるでしょう。
このプロジェクトにおいてシステム導入をリードしているのが、私が所属するCXトランスフォーメーション推進センターです。旭化成グループの営業マーケティングのDX推進をミッションとして取り組む部署で、私もCXトランスフォーメーションセンターの一員として、「oneAK Salesforce」のプロジェクトに参加しています。
プロジェクトを“学び”の機会に
私が「oneAK Salesforce」に参加したのは2021年から。マーケティング&イノベーションセンターを中心とした要件定義の議論にも加わり、決定した仕様に基づいて設計を進めました。プロジェクトへの参画当初から上流工程にも携わらせていただいていましたが、当時の私はSalesforceに関する知見を持っていなかったため、学びと開発を並行して進めている状態。Salesforce社が提供するTrailhead(トレイルヘッド)というオンラインサービスを通じて基礎から応用、外部ツールとの連携まで様々な情報をインプットし、設計や実装を通じて情報をスキルに変えていきました。
以前は設計や実装などの技術的な側面は、外部のベンダーに全面的に委託していました。しかし、このプロジェクトでは外部への委託を少なくし、CXトランスフォーメーション推進センター内で自社開発することに注力しました。短期的な視点では、ベンダーに依頼する方が効率的だと思いますが、それでは経験も技術も社内に蓄積されません。当時は、社内に「Salesforce」のエキスパートもおらず、資料が用意されているわけでもなかったので、自分で情報を調べ、不明点はテスト環境に試作するということを繰り返すことで実装を進めました。独自機能の開発に必要なJavaベースのapexというプログラミング言語も同様のアプローチで身に付け、入力した日本語を機械翻訳で英語に自動変換し、グローバルにデータを共有できる機能を開発しました。
難しい挑戦ではありましたが、このプロセスで自分のプログラミングスキルが大きく上がったと思いますし、良い経験になったと思っています。もともと情報系の大学院の修士を修了していることもあり、技術に触れることが大好きなので、苦労しながらもこのように自分自身で進め方を決めて、新しいテクノロジーを吸収しながら業務を進められるCXトランスフォーメーション推進センターの環境は、とても自分に合っていると感じています。
デジタル共創本部には、デジタル人財の育成というミッションがあるのですが、私もまた、「oneAK Salesforce」を通じた成長の機会を頂いたのだと思っています。
スペシャリストとしての道を究めたい
旭化成は、2021年から3年連続でDX銘柄に選ばれるなど、日本のDXをリードする存在として知られています。『中期経営計画 2024 〜Be a Trailblazer〜』でもDXは経営基盤強化に向けた重要テーマの1つに掲げられており、今後も旭化成のDXはさらに進化していくでしょう。
以前は各部署に独自のIT担当部署があり、それぞれ個別に活動していましたが、デジタル共創本部の創設により、全社的なDX推進に取り組むようになりました。他社のDX事例を見ても、個別最適ではなく、より高い視点から全社的に仕組みを変えていく姿勢がなければ、DX化はうまく進まないように感じます。旭化成グループにおいて、その視点を持ちDXを牽引するのがデジタル共創本部であることは間違いありません。
今後「oneAK Salesforce」については、導入効果の数値化など成果の見える化を進める一方で可視化された成果をベースに、よりサービス品質の向上につながる機能の実装・改善に取り組んでいきたいと考えています。
私は現在、設計や実装のフェーズを担当していますが、より上流工程の要件定義にも携われるよう成長を続けていきたいと思います。日本を代表するDXを推進するデジタル共創本部の一員として技術を磨き続け、スペシャリストとしての道を究めて行けたらいいですね。
インフォマティクス推進センター
データサイエンスの力で、
研究開発のDXを実現する
デジタル共創本部 インフォマティクス推進センター
菱沼 雅
社会人4年目
半世紀続いたプロセスを
変えるためのチャレンジ
私の所属するインフォマティクス推進センターデータサイエンス部のミッションは、データサイエンスの立場から研究開発を支援することです。そこで私は、全社の研究開発担当者をサポートする、社内コンサルタントのような立場で仕事をしています。
データサイエンス部には、旭化成の事業領域の広さを裏付けるように、多様な部署から「研究開発にインフォマティクスを活用できないか」という相談が日々寄せられており、それらに対応するところから仕事が始まります。そんな中の一つに「細胞死の領域を自動で検出できないか?」という、旭化成メディカルからの相談がありました。
医薬品等による健康被害を防ぐことは、製薬企業にとって最も重要ともいえる遵守事項です。各国の行政はGMP(Good Manufacturing Practice)と呼ばれる医薬品の製造管理及び品質管理の基準を遵守するために、様々な法律を整備。メガファーマをはじめとする各製薬企業もGMPに対応するために、製薬プロセスにおいてウィルスなどの病原体が混入しないよう、入念なチェックを行っています。
病原体の有無を調べる試験において行われる変性死した細胞の検出は、オペレーターが顕微鏡で行うのが一般的です。50年以上も前に確立された手法ですが、現在まで継承されているそうです。検出するためには熟練者の技術が必要で、オペレーターの育成にも時間がかかります。
こうした課題を解決するために出てきたのが、熟練者の知識や経験をAIモデルに落とし込めないかという発想でした。AIモデルの導入によって精度と作業効率の改善を目指し、旭化成メディカルとインフォマティクス推進センターとの共同開発という形でプログラムの開発はスタート。共同研究は、旭化成メディカルの子会社で、製薬企業へのバイオセーフティ試験受託サービスを手がけるViruSure社(Virusure Forschung und Entwicklung GmbH/オーストリア)との連携で進められました。
海外に飛び、
課題をリアルに感じる
3社で進められるグローバルなプロジェクトで、私は細胞死領域を自動検出するモデルの開発を担当しており、作成したモデルの計算結果を資料にまとめ、ViruSure社との打合せも行っています。
モデルの開発に際しては、CNN(Convolutional Neural Network)やGrad-CAM(Gradient-weighted Class Activation Mapping)、転移学習といった画像認識における技術を使用。一つ一つは様々な分野で活用事例のある技術ではありますが、ViruSure社にとっては専門外の領域。ディープラーニングによってAIに学習させるためにどのような画像データが必要なのかを理解していただくことには苦労しました。自分とまったくバックグラウンドが異なる専門家、かつ海外の方とのコミュニケーションの難しさを改めて実感したものです。専門的な説明になりすぎると伝わりづらくなることもあるので、相手の気持ちを考えながらトライ&エラーを繰り返し、コミュニケーションの方法を柔軟に変えていったことで、次第にこちらの要望を汲み取ってもらえるようになったのは、とても嬉しかったです。
先日はオーストリアに飛んでViruSure社を訪問し、開発中のプログラムのテストをしてくださっている方々とお会いしてきました。訪問は3日間に及び、実際にオペレーターの方々が変性死した細胞の検出を行っている様子も見学させていただき、作業量がいかに膨大であるかとか、光線の具合で見え方が変わって判断が難しくなるとか、現場に足を運んだからこそ理解できたことも多数あり、モデル開発の方向性も一層明確になったと思います。これまではオンラインミーティングが中心だったこともあって、リアルの対面は今後のプロジェクトの進行にとっても、大変有意義な体験でした。
現在、モデル開発の進捗具合は50%ほどといったところ。変性死した細胞を検出するだけでなく、予兆もキャッチできるようにしたいと考えており、その精度もかなり上がってきました。来年にはリリースして現場のオペレーターさんたちに使っていただけたらと思っています。使いやすさに配慮したユーザーインターフェースにもこだわりたいと考えており、オーストリアでお会いしたオペレーターさんたちの作業を楽にすることができたら、というのが私の大きなモチベーションになっています。このモデルについては論文ベースではいくつか確認できているものの、先例はないようなので、いずれ特許出願することになると思います。そのために社内の知財の専門家との相談も進めています。
未知の領域への挑戦が
専門性の広がりに
私は修士時代にスイスに留学し、1年間の研究生活を送りました。その経験から英語を使った仕事に取り組みたいという希望は、上司にも伝えていました。今回、旭化成メディカルから相談があって私に白羽の矢が立ったのは、私が以前からそうした希望を伝えていたからだと思います。私にとって初めての領域でしたが、念願の英語を使った仕事には、ワクワクしながら取り組むことができました。仕事やキャリアについて、個人の希望を汲み挑戦させてくれるのは、旭化成ならではのカルチャーだと思います。
旭化成に限らず、研究開発において最もハードルが高いことの一つが守秘事項の多さです。社外機関との協力となると情報共有も簡単には行えません。その点、社内に私たちのようなDXの専門家がいることは、迅速に研究開発を進める上で強みとなります。またそれぞれの事業部が蓄積してきた知見を、私たちが橋渡し役となって共有できるのも、大きな強みだと思います。
一方で最近になって私が意識するようになったのが、事業への数字的な貢献ということです。つまり特許を取って終わりではなく、研究の成果がどのようにビジネスに結びついていくかも考えなくてはならないのではないかと思っています。上司や同僚は「あまり考えすぎないで、やれることをやるのも大切」とアドバイスしてくれますが、こうした意識は大切にしていきたいと思っています。
今回の細胞死領域を自動検出するモデルの開発に際しては医薬品製造プロセスや画像認識など、新たな領域の専門知識を学ばなくてはなりませんでした。新しい知識に触れられることにはいつも喜びを感じます。未知の領域に接するたびに自分の専門領域も広がっていく、そんな手応えが成長への原動力となっています。
スマートファクトリー推進センター
「面と点」2つの視点を持ち、
グループ全体の生産現場の
DXを推進する
プラットフォーム技術部 システム技術グループ
光成 浩一
社会人5年目
グループ全体の生産現場のDXを推進
スマートファクトリー推進センターは、旭化成グループが持つ国内外の大小さまざまな事業の工場でのデジタル活用、データ活用を推進することを通じて製造現場をスマートファクトリーに変革することをミッションとし、全社・個別テーマを問わず数多くのプロジェクトを推進しています。その中で私が所属するプラットフォーム技術部は、主に生産現場に対し、ネットワークやセキュリティの設計・構築、システムの設計・構築、さらにはAIの導入やデータ分析など、基盤からアプリケーション開発までを一貫して行っています。
私が担当した一つの取り組みは全社向け「製造IoTプラットフォーム」の構築です。これまでも工場ごとにDXは推進され、現場の改善が図られてきました。しかし、工場ごとにDXを推進すると、異なる仕様のシステム開発やメンテナンスに膨大なコストが掛かってしまいます。DXを進める上で必要となる基盤をグループ全体で共通で実現することで、全社のDXを効率的に加速化させ、事業に貢献するために企画されたのが、「製造IoTプラットフォーム」です。「製造IoTプラットフォーム」には、生産現場から収集したデータを使って統計解析モデルを作成する分析基盤と、作成されたモデルを現場データにリアルタイムに適用し見える化する運用基盤の、2つの機能があります。このプラットフォームの活用により、工場は低コストで迅速にデータ活用の取組を始めることができるようになりました。
スマートファクトリー推進センターのような部門があることで、グループ横断でそれぞれの生産現場の課題解決に貢献し成果に結びつけ、全体の変革を推進することができます。「製造IoTプラットフォーム」も活用しながら、そのメリットを生産現場の皆さんに最大限に感じていただけるよう、DX推進に取り組んでいます。
現場と一体となって進める生産現場のDX
ある繊維工場で安定稼働と収率向上を目指してDXを進めるプロジェクトが2022年に立ち上がりました。私はこのプロジェクトにITチームのリーダーとして参加しています。収率向上のためのデータ分析には様々なデータが必要になりますが、手書きの業務日誌や管理図、各システムに散在したデータなど、データを集めるだけでも手間が掛かる状態でした。そこでこのプロジェクトでは、3ステップで取り組みを進めました。まずは業務日誌や品質結果等を電子化し、次に複数のシステムを跨ぎデータを集約できる基盤を構築しました。そして、基盤の各種データを集計し収率や関連する情報をリアルタイムで分析・見える化する環境を立ち上げました。
現場のDX推進において最も重要なポイントは、「現場の皆さんの行動変容を引き出す事」だと考えます。DXは道具であって、データの分析・見える化環境の構築が目的ではありません。「データを分析・見える化することで、現場の皆さんの改善活動を加速化させたい」と考えた私は、工場に足繁く通い対話を繰り返すことで細かなニーズを汲み、すぐに試作のシステムを開発しました。実際に使ってもらいながらコメントを伺い、必要なデータを追加したり、グラフの見せ方を変えたりすることで、「現場が知りたい情報」が見えるように取り組みました。同じグループの社員同士であるため、現場との距離感が近く、気兼ねないフィードバックとそれに対する改良を繰り返すことで、現場が真に求めるデータ活用基盤を創り上げることができました。その後は工場主体でデータの見える化ダッシュボードを追加開発するなど、加速度的にプロジェクトが進行していき、見える化だけに留まらずデータ分析など、取組みの幅も広がっています。これにより、データの見える化・データ分析に基づく生産プロセスの改善も進み、収率が向上しました。現場との密なやり取りと専門技術の両方を発揮して現場の課題を解決し、変革に携われることに、大きなやりがいを感じます。またこのプロジェクトを通じて、システム開発やクラウドの知見を得られただけではなく、プロジェクト管理の経験も積むことができました。うまくできた時もできなかった時も挑戦と失敗を受け入れてくれたプロジェクトメンバーには、本当に感謝しています。
自分をさらに成長させられる環境がある
私はこれまで、事業や規模の異なる10件以上のDXプロジェクトに参画してきました。事業や規模が変われば、当然、解決すべき課題もテーマも変わってきます。プロジェクトへの参画を通じて常に新しい発見や学びが得られるのも、多種多様なフィールドが用意されている旭化成ならではと考えます。最近は、国内だけにとどまらず、海外の生産拠点のDX推進にも取り組み始めました。IT事情は国によって異なるため、国内の事例をそのまま展開するわけにはいきません。言語や文化の違いもあり、プロジェクトの推進は難しい側面もあります。しかし、現場の改善に貢献し、成果につなげるというミッションは変わりません。もちろん、海外拠点のプロジェクトでも現地を訪問し、現場の皆さんとコミュニケーションを取って進めています。国内のように頻繁に通うことは難しいですが、現地との連携を意識しコミュニケーションを工夫することで、距離や言語、文化の壁を越え成果に結びつけることをデジタル活用基盤整備の立場から支えられると考えています。こうした経験もまた、グローバル展開している旭化成のフィールドにより生み出された成長の機会です。
旭化成には様々な成長の機会があると感じています。この環境でなら、今起こっている課題の解決だけでなく、ビジネス・技術の両面から幅広く活躍するエンジニアになることができると思っています。今の目標は、営業・物流などサプライチェーン全体で事業貢献を推進できるエンジニアになることです。様々な機会から学び積極的に行動していくことで、目標は必ず達成できる。そう思わせてくれる環境と機会が、旭化成にはあると実感しています。