企画営業 BtoC消費財 副島 孝仁
マテリアル領域 パフォーマンスプロダクツ事業本部 旭化成ホームプロダクツ 戦略市場営業本部 広域・EC営業グループ
総合人間学部卒 2014年入社
仕事を本気で楽しむ風土があった
「化学研究者になってノーベル賞を目指そうと思っていたんですよ」
照れくさそうに子供の頃の夢を語る副島。大学で工学部工業化学科に進んだのも自然な選択だった。だが途中で“研究者の道よりも組織をマネジメントする道に進みたい”と考えるようになり、ついに文系学部への転学を決心する。いわゆる“文転”だ。何が副島にそんな大きな選択をさせたのだろう。
「ラクロスです。ラクロス部に入って最終学年にキャプテンを務め、人を巻き込んでチームを築き上げ、戦略を考えながら優勝という目標に向かって進む喜びを知ったんです」
副島の所属したラクロス部は、国立大学でありながら日本一を狙える強豪であると同時に、自由闊達な雰囲気が持ち味のチームだった。監督もなく、チームの運営はすべて学生たちの自主性に委ねられていたのである。
「日本一という結果を出すために組織をまとめ、仲間の志を一つにして突き進んでいきました。その経験から、自分にはそうした生き方が向いていると感じ、文系学部へ転じる決心をしたんです」
残念ながらラクロス部の最高の成績は準優勝。日本一には届かなかった。その悔しさをバネに、副島が次に選んだのが旭化成だった。
「ラクロスのチームと同じ空気が旭化成にありました。つまり何事にも主体的に取り組み、自ら立てた目標に、周囲を巻き込みながら挑んでいく。かつその挑戦を本気で楽しんでいる。そんな人たちに出会って、自分もその仲間に入りたいと考えたのです」
化学分野の研究・知見を“製品”というカタチで社会に届けていくという仕事も、化学のバックグラウンドを持つ自分にはふさわしいと感じ、副島は旭化成での道を選んだのである。
トップブランドを任される喜びと責任
1960年の販売開始以来、ずっと日本人の生活に寄り添ってきた「サランラップ®」。その営業が副島の仕事だ。最初の担当は首都圏エリアの小売店。スーパーやドラッグストアの本部で、バイヤーと呼ばれる仕入れ担当者との商談を通じて、「サランラップ®」や「ジップロック®」、「フロッシュ®」などの消費財を拡販していくことがミッションだ。
今でも思い出すのが、2年目に「サランラップ®」の値上げの交渉に臨んだときのことである。もちろん各社のバイヤーは、「それは厳しい」と首を縦に振らなかった。それでも副島は繰り返し交渉に挑み、時には小売店の店頭にも足を運んで商談を続けた。
「ただお願いするだけでなく、小売店のカテゴリー全体の拡販につながる提案を行ったり、市場のデータを共有したりと、取引先のプラスになる情報の提供に努めました。ご担当者の“上司を説得する材料が欲しい”との言葉に、一緒になって資料を作成しました」
基本にあるのは、商品を通じたお互いの信頼関係。「サランラップ®」への愛があるから副島の言葉には説得力が増し、人を動かす力が生まれてくる。交渉は1年にも及んだが、最終的に「サランラップ®」の値上げは受け入れてもらうことができた。
こうした営業スタンスは、副島が現在担当しているEコマースの企画営業でも変わらない。
「主要なECサイトでの拡販のために、広告代理店と協力して効果的なプロモーションを立案したり、マーケティング会社とともにターゲットを細かく絞ったアプローチを考えたり、社内の関連部署の力を借りてECサイト向けのオリジナル品を開発したりと、幅広い取り組みを行っています。例えば、食品保存袋の『ジップロック®バッグ』を、アウトドアレジャーで小物入れに転用する利用方法をECサイトで紹介したり、これまで関心を示さなかった層を振り向かせる工夫をするわけです。商品拡販のためにさまざまなアイデアを出すことができますし、営業というよりプロデューサー的な関わり方ですね」
そこにあるのも、ECサイトにとっての利益拡大につながるような情報の共有と提案。もちろんそれを可能にしているのは「サランラップ®」の圧倒的なブランド力だ。
「化学メーカーで、生活者に身近なトップブランド製品に携われる。まさに化学を社会に届けていく仕事ができている喜びを感じます」
未開の海外市場へ切り込んでいく
Eコマースと同時に副島が現在担当しているのが、ベトナム市場の開拓である。まさに日本代表としての「サランラップ®」を率いて、海外での闘いだ。そこでは、現地での代理店選定から広告戦略の立案と実行など全てをコントロールする必要があり、副島は旭化成ならではの若手に大きな権限を委譲して育てるカルチャーを感じている。
「ベトナムでは『サランラップ®』を2015年に販売開始しましたが、価格が現地製品の2倍以上ということもあって、苦戦が続いていました。シェアは1%にも満たないといったところだったでしょう。でも、その分、未開の市場が広がっていることになります。その市場開拓が私のミッションです」
ベトナム製のラップは確かに安いが、品質面では「サランラップ®」に大きく劣る。そのプロダクトベネフィットが消費者に十分伝わっていないのではと考えた副島は、現地に飛んで、消費者への直接インタビューに臨んだ。
「ベトナムの家庭を訪問し、ラップをどんなふうに使っているか、インタビューを繰り返しました。すると、カットするのにはさみを使っていたり、電子レンジでは使えないと思い込んでいたりと、『サランラップ®』なら当たり前にできることが、そこでは当たり前ではなかったんです。」
価格は競合品に比べれば確かに高いが、しかし、突出して高いわけではなく、商品性能をしっかり伝える仕組みを作れれば、必ず売れるはずだという確信が副島の中に生まれた。だが、ここで難敵が現れる。現地の販売代理店である。“『サランラップ®』は高くて売れない”と頭から思い込んでいる彼らは、副島の提案に対して難しい表情を崩さなかった。だが、副島は引かなかった。
「『サランラップ®』を使えば、女性の家事の負担はぐっと減ります。働き者のベトナム人女性はとても忙しい。そんな女性たちを少しでも楽にしてあげようじゃないか、と訴え続けました」
その声は次第に販売代理店の人々の心を開かせ、副島と同じ方向を向かせるようになる。やがて志は一つとなり、同じチームの一員となっていく。まさに副島がラクロス部で培った“人を巻き込んでチームをつくっていき、同じ目標に挑んでいく”力が、ベトナムで発揮されたのである。
ベトナムでの市場開拓はこれから本格化する。副島の夢は「日本と同じように、ベトナムでも誰もが当たり前のように『サランラップ®』を使っていること」だ。ラクロスでは日本一の夢はかなわなかったが、今度は「サランラップ®」でベトナムでのトップの座に挑んでいく。
全社を巻き込む仕事に挑戦したい
「ベトナムという一つの国での戦略づくりからマーケティング活動、営業まで、自分で考え、行動することを任せてくれる。だから私も自由な発想で新しいことに挑戦できます。しかも担当しているのは会社を代表するトップブランドです。そのことに、旭化成という会社の胆力と懐の深さを感じてしまいます。Eコマースでも、ベトナムでも、ぜひその期待に応えたいですね」
当面の目標は、ベトナムの現地チームと協力して売上げ目標を達成し、ベトナムに「サランラップ®」のある生活を根づかせることだ。その後は、これまでのBtoC製品での企画営業経験に加えて、BtoB製品の企画営業も経験したいと考えている。加えて、ベトナムでの経験を活かして、グローバルで闘える人財を目指していく。
「入社前に思い描いていたように、化学技術を社会に結びつけていく仕事にずっと携わりたいと思っています。最終的には組織横断的に全社を巻き込んだマーケティング活動に取り組みたいし、新規事業の立ち上げにも挑戦したいと思っています」
副島の夢は、さらに広がっていく。
休日の過ごし方
3歳と1歳の娘がいます。妻が土曜日も仕事なので、私が2人を公園へ連れて行ったり、一緒にタピオカミルクティーを飲んだり。もちろんお風呂にも一緒に入って、幸せな休日を過ごしています。
1日の流れ
出社、メールチェック
新商品提案資料作成
サランラップ生産会議
ECプロモーション提案作成
昼食
移動
EC企業との商談
移動
マーケティング部との打ち合わせ
ベトナム代理店とのSkype会議
ベトナム広告内容チェック
退社