自らの手でカタチを創る、
喜びと自信
2009年入社
機械工学科卒
河邊 圭祐
KEISUKE KAWABE
建材生産センター ネオマフォーム工場 工務課
入社1,2年目で任された大プロジェクトの工事
「設計図面を自分でひくので、学生時代の資料や教科書は今も見返しています」
高専時代から使っている書籍を手に、そう語る河邊。手に職をつけて働きたいとの想いから、高専へ進学。「人の役に立つものを作りたい」という理由で介護福祉の研究室に在籍し、多機能車椅子を開発していた。その河邊の心に響いたのが、旭化成の会社理念「人々のいのちとくらしに貢献する」という言葉。「この理念がとにかく印象に残った。建材を選んだ理由としては子供の頃の夢が一級建築士でしたし、仕事をするなら人の役に立つものづくりがしたかった。だったら家の建材を作るものづくりに携わるのもいいなと思ったんです」。
入社後の配属先は、旭化成建材の工場における設備設計を担う生産技術部。「入社前は現場(保全業務)に入ると思っていましたが、機械設計だったので正直驚きました」。
設計の仕事を徐々に身につけていた1年目の河邊に、工場の撤収と設備の導入という大プロジェクトの立ち会い案件が舞い降りた。プロジェクト費用は、数億円。それは、現場と業者を仕切り、仕上げまでの工事管理をする仕事だった。
「実際に現場でわからないことが出てきたときは、現地の工務課の方たちや上司にその都度相談しながら解決していきました。入社年数の浅いうちから大きなプロジェクトに携われて、貴重な経験ができたと思っています」
切磋琢磨しながら、入社1年目から参加した工場の統合化プロジェクトは無事に成功した。一つひとつをこなしてカタチにしてくことで、プロジェクトを成功させたことは、河邊にとって若手であっても自身の手で会社に貢献できると言う自信と喜びに繋がった。
不測の事態への対処に大切なこと
いくつものプロジェクトを担当してきた河邊だが、失敗を経て学んだこともある。
型枠にモルタルを入れてブロックを作る装置の底に溝を掘るという仕事をしていた時のこと。施工中、溝が蛇行してしまった。そこで、河邊は溶接をしてやり直すという判断を下す。結果は、溶接による熱が加わったことで底板が変形。数百万円の底板を更新することになった。
「蛇行してしまった時、上司に『この処置でやります』としか伝えなかった。もっと手順まで伝えていれば、経験のある上司が異なる判断してくれていたかもしれないと、この時は落ち込みました」
『報・連・相』(報告・連絡・相談)の大切さが、身に染みた瞬間。現場対応を一人で任されるため、とかく一人で抱え込みがちになる。「溜め込みすぎだ、と上司に注意されました。悩んでいることも相談しろ、と」。
支えてくれる上司がいるから、自分の業務を遂行できる。河邊にとって、大切なことを再認識する機会となった。
4年間の生産技術部を経て、断熱材『ネオマフォーム』工場の工務課へと異動になり、工務課で保全業務を2年間経験した後、現在は機械設計としての業務に励んでいる。昨年、2億円以上かけて行った工場内の倉庫建設では、建設工事を担当する専門業者との図面のやり取りや工事の調整、建物が完了した後の機械工事まですべてを担当。また、2018年1月発売の『ネオマゼウス』を生産するための設備導入も、河邊が担当した。
「ゼウスを製造するにあたり、高圧ガスの設備を作るのは難関でした。すでに工場にあった古い可燃性のタンクに、違うガスを入れて使うことになりましたが、そのタンクに新しいガスを入れて問題ないか、そこから勉強でした」河邊は、官庁に交渉して休止しているタンクの再使用の許可を得て、工事を始める。しかしタンクの検査をしたところ、タンクの外面が腐食していることが判明。とはいえ、納期まで1週間。社内・社外の調整を同時に進め、急いで修理をしながら、ゼウス用の設備工事を終え検査を受けて、無事に完了した。どんなプロジェクトにも、不測の事態はついて回るもの。
「自分でもよくやったなと思います。納期が迫っているので、修理も同時にやることになり、社内・社外も含めていろいろな人に相談しながら、修理も自分がメインで担当しました。目の前にあることを整理しながら、何をすべきか、何から手を付けていけば解決できるかと冷静に検討することで、プラスの結果になると、身をもって体験できました」
自分にしかできないことを
入社7年目で、河邊は社内制度で総合職へ転換した。2つ以上の資格獲得が必須であるが、果敢に挑戦した。「高専卒のベテランの先輩からアドバイスを受け、早めに勉強して資格を取るようにしました」。後輩が続々と入ってきたことも後押しとなり、その後も毎年一つずつ資格を取るため、勉学に励んでいる。「総合職へ転換するのもしないのも本人次第ですが、資格勉強によって、自分に足りない分野の勉強ができています」。
右も左もわからないままスタートし、設計の業務を夢中にこなしてから早9年。現在の工務課において、設計の業務はすべて河邊の元へやって来る。
「周りからは、設計は自分しかできないこと、それに納期を守ってきたことが認められているのかもしれませんね。『河邊ならやってくれる』と思ってもらえるようになりました」
河邊のように、大きなプロジェクトがタイミングよく次々とやって来るのは稀なことだ。ただその場面に遭遇したとき、どれだけ立ち向かっていけるか。河邊は投げ出すことは絶対にせず、正面から挑んでいった。だから、今がある。
家族と過ごす時間を大切に
奥さんも旭化成建材の社員。週末は、家族と一緒に過ごす。休日は、買い物をして料理をしたり、家事をこなしたり、好きな読書をしたりと家で過ごすことが多い。次の連休には家族でディズニーランドへ行く計画中。