2018年の6月に入社したばかりですが、入社直後は研究開発部門に配属された新入社員向けのMI研修のサポートを担当しました。とくに研究開発フェーズでは、少ないデータをいかに集めるかということが重要になるため、自分が学生時代に研究室で得た知見をもとに、効率的なデータ収集や少量のデータを活用する手法などについてレクチャーしました。その後は各部門と協業する形で、自社の保有データを顧客にわかりやすく伝えるためのコミュニケーションツールの作成や、画像解析で素材に付くキズの発生原因を推定するディープラーニングを活用した予測モデルの作成、強度や難燃性などの複数特性を両立する新規素材の開発といった複数のプロジェクトに取り組んでいます。
私が入社した当時はMIに関わるメンバーが少なかったこともあり、全社に対してMIに関する取り組みを認知してもらう必要がありました。先ほど言ったように経営層はMIについて理解していたのですが、現場レベルへの浸透はまさにこれからでした。そのため、入社1年目は「多くの案件で、多様な事例をつくる」ことに集中しました。さまざまなテーマに対して、組成の探索から画像解析、文章分析まで、ありとあらゆるアプローチで課題解決に取り組みました。2年目以降は外部データを有効活用するための技術開発や、他の化学メーカーと共同で基盤技術の研究・開発を進めるといったオープン戦略的なプロジェクトにも参加するようになりました。また、意識的にMI関連の講演会、研究発表会で登壇する機会を増やし、社内外で人的ネットワークをつくることにも注力しています。
MIというと材料開発ですが、私たちの業務は基礎研究的なことだけでなく、社外との共同開発や現場の方との協業、教育も含め、非常に多岐にわたっています。私自身も先ほど挙げた業務のほかに、機械学習勉強会のサポートを担当しています。製造現場の技術者のみなさんが、自分たちで異常兆候や歩留まり悪化原因を運転データから究明できるよう、データの扱い方について月1回のペースでレクチャーしています。
私たちの部署のメンバーがどれだけ増えたとしても、私たちだけで旭化成すべての課題に対応することはできません。だからこそ、現場の方にデータの見方や扱い方を伝えていくことも、私たちの重要なミッションの一つとなっています。