未来をつくる人 高度専門職に任命されたプロ中のプロたち
片山 武史

2023年度就任
医薬研究センター CMC研究部
LCMグループ
片山 武史
エキスパート
研究開発領域(CMC薬事)

Katayama Takeshi

製造品質と薬事申請の架け橋となる
CMC薬事の新しい可能性を切り開く。

片山さんの
経歴と専門性

大学院で有機合成を専攻し、入社後しばらくは原薬の製造プロセスの研究開発に従事。製造パラメータの管理幅を見極めて市販品の製造方法を確立する役割を担った。その後、製剤開発部門に配属。内服剤の処方・製造プロセス開発に従事したのち、注射剤の承認申請業務にアサインされ、薬事側にキャリアの幅を広げる。現在はCMC*1)と薬事の双方の視点を持って品質に関する承認申請戦略を立案・主導するポジションを担い、過去の審査対応経験を通して得た当局の考え方への理解に基づいて全社を効率的に動かすことを実現し、スムーズな承認申請を実現する役割を果たしている。こうした動きにより、旭化成ファーマの承認申請作業が以前よりも高度化されたと社内では評価されている。

医薬品承認申請を品質面から担う
CMC薬事を目指すことに。

大学院まで有機化学合成を専攻していた私は、2000年に旭化成ファーマに新卒入社後、原薬の合成プロセスの研究開発に従事。品質頑健性維持を目的とした製造プロセスの研究などを任されました。その後、2006年からは製剤の製造プロセスの研究開発に従事しました。10年以上にわたって製造プロセス検討を担ってきたことから、このまま実験室や製造現場に軸足を置いた研究者のキャリアを歩んでいくものと考えていました。
ところが2014年に入って、それまで全く経験したことがなかった注射剤の承認申請業務にアサインされたのです。当初は注射剤の技術や承認申請に必要なノウハウなど持ち合わせていなかったため、技術や薬事ルールを早く理解して承認を通すことだけで精一杯でした。
そして2016年になり、今度は医薬生産管理部に配属。こちらでは医薬品の製造所追加の全体マネジメントを担いました。その際に、承認申請に向けてどのような品質管理体制を築くべきかについての相談で薬事部門と深く関わり、研究開発部門や生産部門が薬事を知ることの意義に気付きました。
そして、それをきっかけに医薬品の品質管理に特化した専門的な薬事領域であるCMC薬事を担いたいと考えるようになりました。

Prifle

私のプロフィール
 
2000年
新卒で旭化成ファーマに入社。原薬の合成プロセスの研究開発に携わる。
2006年
製剤開発部門に配属。内服剤の処方・製造プロセス開発に携わる。
2014年
注射剤の承認申請業務にアサインされ、薬事領域にキャリアを広げる。
2016年
医薬生産管理部に異動し、既承認品目の各種変更管理を担う。
承認申請に向けてどのような品質管理体制が必要か考えると同時に、
薬事以外の部門が薬事を意識する意義を知り、CMC薬事を担うきっかけとなる。
2023年
エキスパートに認定。
多数の申請および承認取得経験に基づくCMC薬事ノウハウと、その部署を越えた波及が評価された。

薬事戦略の立案から関わり、
旭化成ファーマの承認申請を効率化。

医薬品の承認申請の対象分野は、臨床・非臨床・品質の広範にわたります。その中でCMC薬事は、新薬開発及び市販後の変更管理を通じて製品の品質領域に係る薬事承認の取得・維持管理を担います。 医薬品の品質を確保するCMC薬事は、安定供給の観点からも重要性が高まっています。
近年のレギュレーションやガイドラインは最新のサイエンスに基づく判断を求めており、海外展開品目では国ごとの規制の違いも課題となるため、CMC薬事にはサイエンスとレギュレーションの両方に対する高度な専門性が求められます。
当社では、CMC薬事機能については薬事部とCMC研究部が連携して対応しています。私は社内でこの業務に先駆的に取り組み、開発から市販後まで承認取得戦略の立案に携わってきました。申請フォーマットであるCTDの項目を満たすためにCMC研究部と協力して品質に関するデータを効率的に集めるのはもちろん、品質管理の内容が十分かつ過度な負担にならないように戦略を立て、PMDAと議論や交渉を重ねて合意を得るなど、実際の承認申請を推進するための活動も行っております。
このように、実際に私が社内においてCMC薬事として機能するようになったことで、CMC研究部や生産部門のメンバーは承認申請を、薬事部門のメンバーも品質管理を意識するようになり、それによって旭化成ファーマの承認申請に関する動きは合理化され、効率的に進むようなったと自負しています。

高度専門職の立場を得て、
ミッションを遂行しやすくなった。

私の現在の目標は、CMC薬事が会社に貢献できるということを証明することや、CMC薬事の普及や後進育成を目指した承認申請ノウハウの文書化と社内展開、現時点では専門外である抗体医薬品や分析技術など自己のスキルセットも向上させることです。その目標に向けた活動の中で、CMC研究部と薬事部の連携推進にも取り組んでいます。
また私は、CMC薬事が関わる領域はCMC研究部門と薬事部門だけではないと考えています。なぜなら、承認申請戦略はGQP・製造現場の事情・在庫管理など様々な要素を踏まえて最適なものを選択しなければならないためです。そこで2024年度には、薬事部の方と二人で、CMC研究部と薬事部だけではなく社内の各工場・生産管理部・品証部をも対象に、薬事と品質管理の両面から承認申請ノウハウにまつわる講習会を開きました。こうした活動を通して、CMC薬事の存在意義は確実に浸透していると考えられます。
規制当局は、社会の窓口として、申請内容の本質を深くしっかりと見ています。社会の安全・安心を確保するため、医療事故や欠品などが起きないように真剣に製薬企業と向き合っているのです。そうした当局に対峙する製造販売業者にも、難しい課題に直面しても妥協せずに、社会のために正しい判断と行動を取っていくという矜持が必要です。私の経験でも、承認申請は「テクニック」ではなく「正論」に尽きると実感しています。このことを全社的にアピールし、旭化成ファーマの創薬・育薬ビジネスの基本理念をしっかりと支えていきたいと思います。その点で、私が高度専門職制度でエキスパートに任命されたことにより、CMC薬事への注目度は高まり、私への相談事も増えるなど、強力な追い風になっています。



*1) CMC:Chemistry(化学),Manufacturing(製造) and Control(管理)の
  各頭文字を取った略語であり、医薬品の品質管理に係る科学技術分野