未来をつくる人 高度専門職に任命されたプロ中のプロたち
河内 隆行

2025年度就任
医薬研究センター 研究推進部
デジタルイノベーショングループ
河内 隆行
リードエキスパート
研究開発領域(IT分野)

Kochi Takayuki

生成AIが研究開発の現場に浸透中。
創薬研究への応用を進めています。

河内さんの
経歴と専門性

以前に勤めていた大手電機系IT企業では、分子生物学を専門とするデータアーキテクトとして、バイオインフォマティクス研究者に向けたIT支援でキャリアを重ねてきた。旭化成ファーマに転職後も、研究センター内のIT環境の整備と進化を担い、創薬部門を支える存在として活躍。エキスパートを再任した現在は、著しい進化を見せる生成AIを、創薬研究に活用することに従事している。また、他の旭化成グループ各社の生成AIに関するスペシャリストたちとも深く関わり、この分野の最先端を切り拓いている。

研究道具としてのITを数段階進ませて、
研究者の相棒となるITの実現を追求する。

私は以前に勤めていたIT企業で、国内大手製薬会社や大学病院、国立の研究機関においてバイオインフォマティクスを専門とする研究者に対し、ITインフラの整備からデータ解析まで、幅広い研究支援業務を行ってきました。そこで獲得したスキルを、民間の事業分野の研究活動で活かしたいと考え、旭化成の扉を叩いたのです。
転職して最初に取り組んだのは、研究センター内のモノとデータの流れの改善でした。化合物を受け渡す業務フローの改善と、研究データを一元管理する環境の設計を同時に検討し、全体の最適化を図ることで、創薬研究におけるPDCAであるDMTAサイクル( 化合物の設計、合成、評価、分析 )を加速させることが出来ました。そのあとも、試薬管理やサンプル管理の効率化、低分子だけでなく中高分子も扱えるよう基盤の拡張など様々な施策に取り組んできましたが、やはり、基盤の設計をきちんと行えたことが支えとなり成功させることが出来たと思っています。
私が高度専門職のリードエキスパートに認められた理由は、一つ一つの功績ではないと思います。自分の成長意欲や貢献意欲を努力によって満たし、新しく期待された役割を果たしている点が評価されたと自負しています。

Prifle

私のプロフィール
 
2000年
大手電機系ソフトウエア開発企業に新卒入社。
2013年
旭化成ファーマ入社。
研究環境を支援するITインフラの運用強化を手がける
2019年
エキスパートに認定。
ファーマ社内におけるデータ活用のスペシャリストとして研究支援が評価された。
2022年
エキスパート再任。
2025年
リードエキスパートに就任。従来のミッションに加え、生成AIを創薬研究に取り入れる取り組みが期待されている。

専門家同士の議論から、
新たな自分の価値が引き出された。

2025年に、私は高度専門職のリードエキスパートを拝命しました。現在、従来のITインフラの強化と業務効率化に加え、新たに挑んでいるのは創薬研究に生成AIを積極的に取り入れていくことです。創薬研究に生成AIを適用できることを示すことで創薬活動の進め方を変革させることに挑んでいます。分子生物学、データアーキテクト、ITインフラ構築といった多様な領域に足を踏み込んでいた私が、世界中のあらゆる分野の研究開発シーンを塗り替えようとしている生成AIに着目したのは当然の流れでした。それでも単独で生成AIを研究現場に導入ことは容易ではありません。しかし、幸いなことに旭化成グループには生成AIに関心を持つ専門家たちが多くいました。
例えば生成AIの基礎技術の一つである自然言語処理においては、旭化成グループ内の有志達約10名と毎週3日程度の頻度で読書会を開催し最新の技術書を読み合わせることで、理解を深めることができました。私はグループ内のIT技術者らとの意見交換にこれまで積極的に活動していたため、このようなグループ横断的な取り組みに参加できることができました。また、研究センターではもともとインフォマティクスに積極的に取り組んできており、業界内で著名な研究者らと同僚として日々の議論に加わることができました。
このように専門家たちからの刺激を受けたことで、私の生成AIに関するスキルは向上し、旭化成ファーマの創薬に貢献できる新たなケイパビリティを獲得することができたと考えています。

多様なバックグラウンドが集まってこそ、
新たな発想や展開が生まれる。

旭化成ファーマはITが主たる事業ではありません。しかし、薬学・生物学・化学などの専門家がITを活用し、またITの専門家が創薬研究を理解するなど、分野を超えた連携が進んでいます。
現在、どの従業員にとってもITは業務に欠かせない存在となっています。多様なバックグラウンドを持つ人材が集まることで、新たな発想を生みやすい組織風土が形成されています。創薬研究以外の専門性も評価される高度専門職制度は、多様な人材の活躍を促進する上で有効です。
今後は、ITやデータサイエンスなど特殊な専門性を持つ若手社員が、高度専門職制度で認められるケースも増えていくと考えています。
私は、近い将来、研究者にとって生成AIが創薬研究のパートナーとなる環境を実現したいと考えています。(なお、2025年10月にリードエキスパートに認定されました。)。