未来をつくる人 高度専門職に任命されたプロ中のプロたち
メディカル・アフェアーズ部 加藤 直人

2023年度就任
メディカル・アフェアーズ部
加藤 直人
リードエキスパート
MA・学術領域(MA活動/MSL活動)

Naoto Kato

MA(メディカル・アフェアーズ)/MSL(メディカル・サイエンス・リエゾン)という
新たな職務と組織を高度化し、創薬事業を発展させています。

加藤さんの
ご経歴と専門性

大学院博士後期課程まで分子生物学を専攻し、特に生体外物質を介した細胞内シグナル伝達について研究し、Ph.D.を取得した。その後は大手外資製薬会社に就職し、肝臓疾患の創薬研究に従事したが、組織改変で研究所が閉鎖。創薬研究を継続する最適な環境として2008年に旭化成ファーマへの転職を選択した。入社後はリウマチ関連の創薬に携わりターゲットバリデーション等に取り組みましたが、基礎研究の現場と医療活動の現場の間にある様々なギャップを埋める必要性を感じ始め、営業本部に異動。骨領域プロジェクトに育薬側の立場で関わり、MA的な業務を開始した。その後、一時期外資製薬に移ってMA/MSLの経験を深め、2018年に旭化成に戻ってからはMA部を牽引し、旭化成ファーマにおけるMA活動の水準を高めることに尽力している。その一部の功績と重要度が評価され、2020年にエキスパート、2023年にリードエキスパートに任命された。
*アンメットメディカルニーズ(未充足の医療ニーズ)に基づいてメディカルプランを企画・遂行し、併行して論文投稿や学会発表を行い、医師の研究対応なども担うのが、MA(メディカル・アフェアーズ)。MAの成果物をベースに、KOL(キーオピニオンリーダー)を中心とした医療従事者に密に接し、中立的な立場で情報提供と科学的議論を行うMSL(メディカル・サイエンス・リエゾン)。

知的好奇心の赴くまま職務を拡大することで、
社会が必要とするキャリアが深まっていく。

大学院で分子生物学を専攻した私は、キャリアの初期においては細胞生物学を軸として創薬のアーリーフェイズで重要な基礎研究の一つを受け持っていた。ただ前職の外資製薬の研究所が閉鎖することになり、旭化成ファーマに転職してからもしばらくは基礎研究を続けましたが、しばらくして臨床側の知見や発想、問題意識を深く認識して創薬を進めることや、医療現場側にも自社商品の売上拡大とは一線を引いて中立的な立場で行う情報提供が必要ではないかと考えるようになりました。
そうした意向を上長が汲んでくれたことにより、営業本部骨領域プロジェクトに異動。骨領域の新薬を上市するプロジェクトにおいては、基礎研究と臨床研究の双方に接点を持ち、最新の研究成果や新たに得られたエビデンスを発信することで医薬品の価値を最適化するMA/MSLの役割を担うことになりました。
近年では多くの製薬会社でMA/MSLの存在意義が欧米の水準近くまで浸透してきていますが、当時の国内製薬業界ではその重要性やMA/MSLのミッションが深く認識されておらず、私を含めた部員が切磋琢磨し、現在のMA部を構築してきました。こう述べるとMA/MSLの使命感に突き動かされてきたように聞こえるかもしれませんが、それ以上に「医療に貢献するための追究」を行ってきた結果、高度専門職のポジションが得られたのだと思います。

Prifle

私のプロフィール
2005年
新卒で外資系大手製薬会社 研究所に入社。
 
2008年
旭化成ファーマ入社 医薬研究センターに配属。
2013年
メディカル・アフェアーズ(MA)部配属。
2015年
外資系大手製薬会社へ移り、MA/MSL業務のノウハウを獲得。
2018年
旭化成へ復帰 MA部に配属。
2020年
エキスパートに任命。
2023年
リードエキスパートに任命。
MA部長としてMA部全体の責任を負いながら新たなビジネスアイデアの具体化を進めつつも、サイエンスリーダーとして論文執筆ペースも衰えていない。

高度専門職と部長の双方の立場から、
後進の育成に注力する。

私はリードエキスパートに任命されていますが、同時にMA部の部長でもあります。サイエンスリーダーとビジネスマネジメントの双方をこなしてこそ、高度専門職だと思います。難しいのは、利益と切り離した中立的な立場で職務を遂行するMAと、利益への貢献に責任を負う部長職では、時に考え方で相反する場面が生じることです。私は部下に対して今はどの立場で接しているか明確にすることで、周囲の混乱を避けています。
一方で、高度専門職にも部長にも共通する目標は、後進の育成と部門自体の価値向上です。私に続く高度専門職を部下の中から輩出してMA部を発展させることは最重要ミッションの一つです。MA/MSL領域で高度専門職を目指すには、一つの医薬品についてエビデンスを創出し、それを中立的な立場で医療現場に提供し、最終的に患者さんに貢献した事実を残すというサイクルを一通り経験し、成果を上げる必要があります。そしてこの複数サイクルを経験することで、リードエキスパートへの推挙を手繰り寄せられると思います。また、私はMA業務には4本のピラー(柱)があると規定しています。KEE(社外医科学専門家)エンゲージメント、アカデミアエンゲージメント、データジェネレーション、疾患啓発の4本です。これらを全てカバーできるようになれば、一人前と言えるでしょう。

研究者のポジティブな意欲を引き出すのが、
高度専門職導入の本質。

旭化成のキャリア設計には、マネジメントのラダー(ラインポスト)とサイエンティフィック/テクニカルのラダー(高度専門職制度)の2つの選択肢が用意されています。しかも両方を兼務(併用)することも可能です。研究者個人の未来を考えると、管理職か専門職かの二者択一を迫られるという将来の可能性を狭める事態に陥ることなくキャリアを積み重ねられることから、心理的な安定やモチベーションの向上につながります。
実際に、私は今もサイエンスリーダーの立場で論文を執筆し続けていますし、部長の立場でMA部の組織的な発展を構想しています。例えば、医療関係者や患者さんとの窓口になっているコールセンターに蓄積された膨大なコールログを社内各部門や社外のステークホルダーに向けて有効活用すれば、MA部がプロフィットセンター(利益創出部門)になれると考えています。このようなビジネスアイデアが生まれるのも、研究者としての研究意欲と会社貢献意欲を一致させられる高度専門職制度が機能しているからなのです。